どうも、釣り人の有馬です。

2023年7月15日、秋田県を中心に記録的な大雨になりました。

ここ岩手県西和賀町(にしわがまち)でも、日降水量が203mmということで気象庁のデータによると統計期間内では2番目の大雨になったようです。
降り始めからだと304mmで観測史上最大のようです。

今回の大雨では、深夜も降り続き和賀川の水位が上昇しました。

その夜は、増水により地鳴りがおこりハラハラしていたので、今後の自分のためにもデータを残しておきたいと思います。

ちなみに、自分の周りでは今のところ大きな被害は聞いていません。

ハザードマップ

今回のように大雨の場合は、事前に天気予報を通して知ることができるため、前もって自宅周辺の危険度を知ることができます。

〈ハザードマップ〉
ハザードマップポータルサイト


ハザードマップでは、色々な情報を入手できますが、今回の場合は洪水と崖崩れ、土砂流及び地滑りと避難所について調べていました。

僕の場合は、洪水被害の可能性があるため、その点を重点的に見ていました。
また、避難所に行くまでに崖崩れや土砂流の影響が考えられるため、どの道路で避難所まで行くべきか調べました。

雨量と水位の状況確認

僕は釣り人のため、水位の情報はよく確認しています。
あと、その水位であればどの程度の状況なのか、今までの経験でおおよそ分かります。

経験上では、2011年6月24日の水位状況が結構まずいと思ったので、今回もその状況を比較対象としていました。


2023年7月15日、当日。
僕は、天気予報アプリの雨量予想と「川の防災情報」により情報を収集し、避難が必要か考えていました。

国土交通省の川の防災情報では、水位データの他に画像でも現在の状況を確認することができます。
和賀川2023年7月16日観測所データ
国土交通省 川の防災情報ホームページ  (https://www.river.go.jp/index)を加工して作成

〈川の防災情報〉

水位グラフは色付けされていて、紫色の線だと氾濫危険水位となります。
データから分かるように、今回は半日以上氾濫危険水位になっていました。

和賀川2023年7月16日観測所画像
国土交通省 川の防災情報ホームページ  (https://www.river.go.jp/index)を加工して作成

定点カメラの画像を確認できるため、自宅にいながら川の状況を知ることができます。
また、平常時の画像もあるため比較することができます。

予測の曖昧さ

当日は、川の水位をちょくちょく確認していたわけですが、16時あたりに3mを記録してからは、そこを頂点として徐々に下降しつつありました。

これまで見た中での最高値は2011年6月24日の4.6mあたり。
今後の雨量予想を確認し、この4.6mにはならないだろうと思っていました。

しかし、夜になり増える雨量。
予想以上の雨量が実測として加算されていきます。

23時過ぎ、寝る前に水位を確認してみると、3mを越え始めていました。

さらに音を立てる雨。

予測の曖昧さを実感しながら、寝ることに。
ただ、強くなる雨に河川氾濫の心配があったため、浅い眠りを繰り返しました。

そして、朝。
カーテンを開け、風景に変化がないことを確認し安堵。


この時の数値データをグラフにしてみました。
データは、国土交通省の水文水質データベースを使用しています。

〈水文水質データベース〉

雨量と水位2023年7月15、16日
出典:国土交通省 水文水質データベース(http://www1.river.go.jp/)(2023年7月17日閲覧)

7月15日と16日の雨量と水位のグラフです。
横軸は時間、青の棒グラフが1時間の雨量、オレンジの折れ線グラフが水位です。

グラフで分かるように、今回の水位最大値は16日3時の3.46mです。
(ちなみに、この時期だと-0.8~-1が平均値付近です)

僕は、15日15時あたりを最大値と考えましたが、そこからもう一山あったわけです。

雨量も午後は下がってきていましたが、夜になり上昇。

夜間の水位上昇は、本当に怖いなと思いました。
日中なら目視確認もできますが、夜はヘタに出歩くと危険です。

そして、今回の教訓としては、雨量予測は参考程度とすること。
やはり、雨量に関しては降ってみないとわからないというのが現状かもしれません。

過去との比較の曖昧さ

何度か書きましたが、2011年6月24日の水位データを元に過去との比較をしていました。
グラフにすると下記の通りです。
雨量と水位2011年6月23、24日
出典:国土交通省 水文水質データベース(http://www1.river.go.jp/)(2023年7月17日閲覧)

水位の最高値が4.6m。
僕は、この数値だけを頭に入れて比較していましたが、やはり考えが甘かったです。

こうしてグラフにしてみると、2011年6月24日は最高値は高いものの、その時間はあまり長くなかったといえると思います。
そして、最高値は午前中。

雨量にしても、1時間雨量は多いものの今回と比べると時間は短め。
やはり、データの一部をとって比較するのは、あまり意味がないということを実感しました。

量と時間。

結局は、この総量で考えないと危険度は測れないと思います。

下流側の状況

こうしてデータを見ていると、もう少し欲しいデータが出てきました。
それが、ダムの状況です。

西和賀町を流れる和賀川は、湯田ダム(錦秋湖)に流れ込みます。
そこで水位調整などを行い、最終的に北上川に合流します。

これまでは、和賀川の水位だけを見ていましたが、その行先である湯田ダムの水位が気になりました。
ダムも貯水量に限界はあり、川から流入し続ければいつかは限度を超えます。

そこで、さきほどの水文水質データベースです。
リアルタイムダム諸量一覧表というものがあったのでグラフにしてみました。
湯田ダム2023年7月15、16日
横軸は時間、縦軸は青の棒グラフが貯水量、オレンジの折れ線グラフが流入量、灰色の折れ線グラフが放流量です。

和賀川から流れ込むため、流入量は和賀川の水位グラフと似たような傾向になっています。
で、おそらく決められた基準の放流量で貯水量を管理しています。

ちなみに、グラフにはありませんが、データとしては貯水率もありました。
それによると、15日16時から100%。

グラフで分かるように15日16時というのは、貯水量としては、まだ山の入り口。
このデータだけでは、いまいちイメージが付きませんでしたが、川の防災情報には湯田ダムの画像などがありましたので載せておきます。
湯田ダム20230717
国土交通省 川の防災情報ホームページ  (https://www.river.go.jp/index)を加工して作成

緊急放流の数値に近付いていることがわかります。(近付いていますが、貯水量は減少傾向です)
続いて画像です。
湯田ダム20230717画像
国土交通省 川の防災情報ホームページ  (https://www.river.go.jp/index)を加工して作成

やはり、水位はかなり高いようです。
何日、そして何百mm雨が降れば限度なのか知りたいところではあります。

バックウォーター

今回、下流側が気になったのはバックウォーターが頭に浮かんだからです。
湯田ダムが一杯になれば、その一帯はバリアと化して逆流が発生するはずです。

本流に流れ込む支流も、本流が閾値を超えたところから本流に流れ込むことが出来ず逆流現象が発生します。

なので、この閾値を把握しておけば危険度が想定できるかと考えましたが、そもそもその閾値の設定が難しいというのが今のところの答えなのかと。

川は、蛇行しているし、深さ、高さも違います。
その瞬間、その場所に流れる水量、水圧はなかなかに想定するのが難しいと思います。

結局は、危なくなる前に対策、危なくなってきたら早めの避難。

これまでの最大値

先ほどは、量と時間の総量と書きましたが、やはりこれまでの最大値を知っておくことは重要だと思います。

値を載せておきますが、岩手県西和賀町(沢内か湯田)のデータです。
そして、最大値より下なら安全というものではありません。


日降水量:260mm (2007/9/17)
日最大1時間降水量:55mm (2017/8/24)
(気象庁 過去の気象データ検索 観測史上1~10位の値より)

ただし、2007/9/17の最高水位は3.43m。
2017/8/25には、最高水位3.27m。


最高水位1位:4.6m (2011/06/24)
最高水位2位:3.8m (2015/07/25)
最高水位3位:3.43m (2007/09/17)
(水文水質データベース 水位ランキングより)

今回は、最高水位3.46mなので3位に入ってくるはずです。
やはり、今回は記録的な豪雨だったようです。


みなさんも住んでいる地域のデータを知っておくと、被害想定や避難の有無が考えやすくなると思います。

ただし、予測は予測なので安全のためには、より悪い方で考えることが大事かもしれません。
ブラックスワンという言葉もありますので。